■写真の説明 = 貨物輸送機です。西暦2000年、北北西側から長さ4000mのRunway16(当時成田の滑走路は1本だけでした。)へ着陸進入中のフェデックスボーイングMD-11Fを、桜の山公園の奥に入った所から、午後に撮影。機体の全長は61.21m(ボーイング747-400の87/100。)。ゼネラルエレクトリック General Electric GE CF6-80C2D1F エンジンを装備しているようです。翼端のウィングレットは前方下部の小さな翼と上部の大きな翼とに分かれている独特の形状のものですが、上部翼は翼端渦を主翼の上方と後方に遠ざける通常の働きの他、前方下部翼の発生させた渦による気流を受け推力を生み出す役目も担っているのでしょうか。上部翼の断面は薄翼の腹の部分を膨らませた、孵化したての魚のような形の遷音速翼形 (スーパークリティカル翼形でしょうか。) になっているようです。フラップトラックフェアリングはDC-10同様、他のボーイング機やエアバス機と異なりフラップ後端から突き出ていません。
◆追記(トリムタンクについて) = 飛行機が遷音速領域で飛行すると、主翼上面に発生した衝撃波の影響で機首が下がってしまう タック・アンダー という現象が起き、主翼の発生させる揚力も後ろにずれるのだそうです。操縦桿を引いたままでいなくても飛行機が真っ直ぐ飛ぶように、水平尾翼の後縁を上に向ける操作をしなければなりません。このような調整を、“トリムをとる”と言うのだそうです。写真のMD-11は、巡航中に水平尾翼内の燃料タンクへ燃料を移動させるのだそうですが、タックアンダー対策として、水平尾翼の後縁を上に向けるのではなく、燃料の後方への移動によって重心位置を後退させて、機首を上げるのでしょう。水平尾翼内の燃料タンクを、トリムタンク と呼ぶこともあるようです。MD-11の水平尾翼はDC-10に比べ30パーセントも小さくなっているそうですが、巡航時に下向きの力を生じさせ続ける必要がないことにも関係があるのでしょうか。写真の着陸間近のMD-11は、DC-10と同様に水平尾翼の後縁が上に向いています。着陸時は重心位置の移動は行っていないのでしょうか。
■撮影に使用した機材 = カメラ:Canon EOS-1V + PB-E2 , レンズ:Canon EF 70-200mm F2.8L USM , フィルム:FUJIFILM FUJICHROME Velvia , 一脚:SLIK ザ プロポッド + バル自由雲台 , 露出計:SEKONIC スタジオデラックスIII L-398A