写真画像 アメリカン航空(American Airlines)AA AAL ボーイング777-200ER(Boeing777-200ER) N778AN or N77BAN
■写真の説明 = 西暦2008年6月、北北西側から長さ4000mのRunway16R(2本在る内の長い方のA滑走路)へ着陸進入中のシンガポール航空 エアバスA380-800を、桜の山公園から、小雨の降る早朝に撮影。機体の全長は72.6m(ボーイング747-400の103/100)。A330・A340と同様、補助翼 (エルロン Aileron) は、フラップ Flap も兼ねた フラッペロン Flaperon になっているようです。また、内側と外側のフラップの間に補助翼が在りませんので、主翼後縁のほぼ全てがフラップになっていることになります。主翼の端部にはA310のものに似た矢尻状のウィングチップフェンスが装着されています。主脚の数は4本(前の車輪の方が下がった6輪ボギー式と4輪ボギー式のものが各1対)で、車輪の数は前脚の分を含め22輪です。
 この飛行機は最新鋭の全2階式の世界最大の旅客機ですが、これまでの大型機と比べ全幅は2割強、全長は極わずかに大きいに過ぎないのに、3割強多い旅客を乗せて更に余裕もある所に真価が現れているのではないでしょうか。A380を運用すると乗客を減らさずに飛行機の便数を減らせますので飛行場やその周辺の空域の混雑が緩和されます。最大の旅客機ですので乗り心地の良さも最高クラスで、大船に乗ったように安心して乗れるのではないでしょうか。乗客の評価は上々のようです。A380は全2階式となっていますが、例えば床面積を2倍にする必要が有るとき、その為に胴体の直径又は長さを2倍にすると胴体の表面積も2倍になるのに対し、全2階式にした場合胴体表面積は1.5倍程度にしかならないようですので、全2階式にすると増加する表面積が削減され、それが材料費の削減及び機体の軽量化と空気抵抗の減少に伴う燃料費の削減に繋がると思われます。凹凸の少ない非常に滑らかな卵のような胴体の形状も単位容積当たりの表面積を減少させています。また、胴体の断面は縦軸の長い楕円形となっていますが、胴体表面近くを流れる空気は前から後ろへ真っ直ぐに流れるのではなく上下にうねるようですので、縦長断面の胴体の方が円形断面のものより表面の空気が滞りなく流れ去り、空気抵抗が更に減少するでしょう。A380は擦れ違う空気の視点からは、どの旅客機よりもスマートに見えると思います。事実A380はジェット輸送機の中では最速クラスの巡航速度を誇っています。胴体と主翼の他多くの箇所に多用される新素材は機体を軽量化する他に耐久性を向上させるようです。装備している4基の高バイパス比ターボファンエンジンはロールスロイス Rolls-Royce RR Trent900です。バイパス比が4以上のものが効率が良く静かな高バイパス比ターボファンですが、このエンジンはバイパス比が現在最高クラスの8.5以上で、吸い込んだ空気の9割弱を燃焼させずに直径の大きなフロントファンで加速して後方に噴出させます。最新鋭の技術が駆使された効率の良いエンジンと機体とが組み合わされ二酸化炭素の排出量が少ないA380は、地球温暖化の解決に貢献して多くの種類の生き物達を救う、地球環境を守ろうとする意志を持った人々によって造られた現代のノアの方舟と言えるでしょう。A380は最も大きいだけでなく、時間・空間・資源・環境・安らぎ…これらのものが特に大切にされるこの時代の要求に最も合致する旅客機であると言えるのかもしれません。
 A380は西暦2000年にシンガポール航空等からの受注後に製造に向けた開発が開始されました。非常に評判の良い航空会社から最初に発注されることからもA380がどのような飛行機かを伺い知ることができると思います。その後計画段階の機種名だったA3XXがA380になりました。2004年に黄緑色の製造途中の機体の写真が公開され、それを見て胸が躍ったものでした。2005年に初飛行を行った際にはテレビのニュースでも報道されました。私はその模様をインターネットで見たのですが巨大な機体が実に軽やかに飛ぶ姿が印象的でした。2006年に試験飛行の際に成田にも飛来しました。2007年にシンガポール航空が運行を開始し、成田空港が開港30周年を迎えた2008年5月20日にシンガポール - 成田線に就航し、現在毎朝飛来しているようです。数台の2階式のバスを従え誘導路を進む超大型旅客機の想像図を初めて見た時は、「このようなものが計画されているのか。」くらいにしか感じなかったと思います。開発者達の技術力と想像力と情熱とによって、想像上の未来の旅客機は現実のものとなりました。そして開発者達には見えていたはずの、無数のこの旅客機が世界中の空を飛び回る様子も、今や現実となりつつあります。
◆(撮影時の状況に就いて) = 私が成田に着いたのはA380の到着予定時刻の20分前。超大型機ですから長い方のA滑走路に着陸する筈です。風向きを見て34L側で待っていたのですが、飛行機は1機も飛来しません。到着予定時刻頃に16Rに別の機が着陸しているのに気付き、急いで車に乗り込み移動。桜の山公園の駐車場から広場に速歩で向かいました。広場に着く直前に飛行機の近付く音が聞こえてきました。広場への階段を昇りカメラの電源を入れました。木の陰になって機体の姿は見えません。聞いたことの無いエンジン音です。キーンという音ではなくボーイング777の様なポーンという音でもありません。適切な表現かは判りませんが、私には“ニャアー”と聞こえました。これがA380に違いないと待っているとやはりそうでした。肉眼で見たのはカメラを構える前の一瞬です。ボーイング747との大きさの違いはそれほど感じませんでした。実際全長は3パーセントしか違いません。新式充電池エネループを得てパワフルな愛機F420で3コマ撮影しました。8年ぶりの成田での撮影です。すぐ後に降りて来たA340-300とエンジン音を比較すると、A380の方が周波数が段違いに低いからかもしれませんが、やや静かにも感じられました。ボーイング747の愛称はジャンボジェットですがA380のそれはどのようなものになるでしょうか。鳴き声(エンジン音)がニャアーですので私はマイティーキャットと呼ぶことにします。
 後日、離陸時のエンジン音の大きさを他の機種と聴き比べました。ボーイング777とほぼ同じということはないでしょうが、あまり変わらないと感じました。ボーイング747-400(GE CF6-80C2B1Fエンジン装備)と比べると明らかに静かでした。
■撮影に使用した機材 = カメラ:FUJIFILM FinePix F420